NTL(ナショナルシアターライブ)の『ハード・プロブレム』を観てきました。 事前に検索をしたところ「よく分からない」という意見が 結構あって、そんなに難しいのか~と思っておりました。
ところでNTLとは、ロンドンのナショナルシアターで上演された 舞台を映画館で観られる!という素晴らしいものです。
観たくて観たくて辛抱たまらず、公式さまに 「北海道では観られないんですか!」と問い合わせをしたら 「現在、上映に向けて営業中です」というお返事が。 NTLの営業さんがんばれ…!そして札幌の映画館で上映してくれる ところがあったらいいのにいい!!と地団太を踏んでおります。 いろいろあるとは思いますが…ううう…。
ちょっと話がそれましたが、『ハード・プロブレム』!! ”若き心理学研究者ヒラリーは、心理学と生物学が交わる環境で、厄介な疑問と向き合う。 その難問は「思考とは何か?」。 そしてその問いは、同僚たちと相反する難しい立場へと彼女を追いやる・・・。”(NTL公式サイトより) というあらすじ。
うむ、なんだかよく分かりません。 大丈夫かな…ついていけるかな、と思いつつパンフを購入。 結果的にこれが大正解。読んでから観たことで、 かなり(といっても0の知識が5になったくらい)理解することが できたと思います!
ここからは、私なりの理解で書くので違ってたらすいません。 ハード・プロブレムとは、脳科学の専門用語『意識のハードプロブレム』のこと。 脳の仕組みは科学的にほとんど解明されているけれど、 じゃあ心はどういう仕組みなの?という。 「楽しい」「悲しい」「嬉しい」「つらい」などの気持ちはどこから来ているの? ということを、主人公のヒラリーは心理学の面から研究をしようと しているのかな、と。
でも、心理学を専門にしているヒラリーが目指したのは 脳科学で有名なクロール研究所。 私はここで「なぜ?」と思ってしまったんですよね~。 ヒラリーは『意識のハード・プロブレム』を解こうとしたのだろうか。 う~~む、これは無理があるのでは?? と思ってしまったんですよね。
ヒラリーは研究者として優秀だと思うのですが、 いかんせん自分のことというか自分の思い込み的な 考えにとらわれすぎなように感じました。
正直、途中で意識が無くなる時間もあったのですが けっこう楽しく観ることができましたよ。
クロール博士が娘のキャシーと会話するシーンで 「奇跡と偶然の違いは」ということをテーマにした ものがあって、これは私も常々考えていることなので興味深かったです。 短いシーンなんですけども。
そもそも、私がこの『ハード・プロブレム」を観に行こう!と決めたのは ニコラス・ハイトナーが演出だから。 今ヒストリーボーイズという演目に心を奪われている私なので、 同じ演出家である『ハード・プロブレム』は観なければ…と思っていたのです。
さて、その演出ですが、 派手さはないものの登場人物たちの内面を感じられて 私は好きです。
ストーリー的にはまあ苦手な部類に入るかも…というか、 私、ストッパード先生が苦手なのかもしれません。 というか、ストッパード先生の恋愛観というか 恋愛要素が私に合わないのかも。
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』は好きなのですが これはハムレットの二次創作だからなのかな。 ハムレットの枠からは出ない、という決まりがあるので 楽しく読めたのかもしれません。
さてさてさて、実はこの『ハード・プロブレム』を観ようと 思ったもうひとつのきっかけは
ダミアン・モロニーが出ているから
です。 根っからのミーハーなもので…。 あるとき、『ノーマンズランド』のトレーラーを観まして、 やたら惹かれたんですよね…ダミアン・モロニーさんに。
そんな『ハード・プロブレム』のダミアン・モロニーさん、 とってもよかった!!! ヒラリーが学んでいる大学の教授で 遺伝子学を教えているスパイクという役。 ヒラリーに個人授業を…なんて言いながら 泊まることしか考えてなさそうな人でした。 ヒラリーとは考え方が全く違うし、言い合いも多いのに 惹かれてるのはヒラリーの見た目のせい…?と思いましたが…。
それは置いておいて、早口で自分の意見を言うスパイクが かっこよかったな~。というのも、 私がスパイク寄りな考え方だったから。
ヒラリー役のオリヴィア・ヴィノールもよかったです。 心理学の面から脳科学を見る、というのは 無理があると思ったし、ヒラリーが 奇跡や神を本気で信じていることも学者として どうなの、と思ったりもしましたが…。 いや、信じてもいいのですが、研究とは切り離してもよいのでは。 と思ったり。 うーーん、これは私が無神論者だから思うことなのかも。 神を信じる気持ちも脳のどこからくるの?と考えるとつながるのか…。 そんな(私からしたら)矛盾を感じる役を自然に演じていたと思います。
NTLは、ほとんどソフト化されないし 本編が始まる前に関係者のインタビューなんかもあって 普通の映画を観るよりお高いのですがお得感がありました。
なんといっても、ロンドンまで行かなくても 上質な舞台が観られるのです!! (私の場合は東京へ行かないといけないという ハードルがあるのですが)
また気になった演目が上映されたら観に行きたいと 思っています。 なぜなら『夜中に犬に起こった奇妙な事件』を 見逃がしていことを最高に後悔しているから。
次はブラナーシアターライブ『冬物語』を観る予定です。 楽しみ!
10月21日、吉祥寺オデヲンにて鑑賞しました。