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BTL 『ロミオとジュリエット』を観た!

あのマキューシオはズルい

2日連続のブラナーシアターライブ、『ロミオとジュリエット』を観ました。

そもそも、『冬物語』を観るためにはるばる東京まで 出てきたわたくし。 日程の都合で23日(祝日)昼着→24日(平日)夕帰という とんぼ返りスケジュールになってしまい、 24日、何しよう~と悩んでいたのでした。

何か面白そうなお芝居がマチネであれば行こうと 考えたのですが、平日のため興味のある舞台はソワレしかない…。 映画でも観ようかな、と思っていたら なんと!ブラナーシアターライブの『ロミオとジュリエット』が 間に合う時間に上映している! 川崎で!!

というわけでノーマークだった川崎までの行き方を調べてみると 私の拠点、神田から30分くらいで行ける、 しかも羽田空港までは20分くらい。 という訳で行くことに決定してしまいました。 前日に気付くとか、ほんと私の目は節穴です。

そんなこんなで、『冬物語』の翌日は川崎へゴー! 雪の予報でしたが、10分くらいの遅れで 川崎駅まで無事に到着。 目指すはTOHOシネマズ川崎です。 雪というか雨の中をものの5分ほど歩いて 無事に到着。 そのまま帰るので小さなキャリーバッグごろごろさせながら うろうろとし、チケットを購入しました。

この時点で上映時間です。 焦って会場内に入ろうとしたら、 「そちらのお荷物預かりますよ」と。 おお…さすが都会の映画館はサービスがよいね!と 思ったりしました。

やっとここから本編なんですけど、 感想としては

誰もが知っているストーリーなので 正直ダレるところもあったけれど、役者さんたちの力で 最後はちょっと泣けたわ…

という感じです。 『ロミオとジュリエット』という演目自体にあまり興味がなく、 へえ~上映するんだ~くらいの思いだった私が がぜん興味を持ちだしたのは ”マキューシオ役はデレク・ジャコビ”と知ってから。

もともと、とっても好きな俳優さんなのですが、 節穴な私は出演されていることを知らなかったんですねー! 事前にもらっていた ブラナーシアターライブのチラシにもよく見たらお名前書いてあるというのに。 「どうせ観られない」という気持ちが私の注意力を散漫にしていたんですね! (言い訳)

今回も演目本編に入る前にちょっとしたVTRが流れるのですが ロミオとジュリエットという若者の話だけあって ”ティーンに聞く!「大人ってどう思う?」”などの質問コーナーがありました。 正直、その内容よりもティーン…?これが…?とか思いながら 見てしまいました。愛なんて私にも分かりませんよ。

その中で、「1分で分かるロミオとジュリエット」という ティーンの皆さんがあらすじを教えてくれるパートがありました。 実は私、『ロミオとジュリエット』をきちんと観たことがありません。 その昔、友人がディカプリオとクレアディンズの映画にドはまりして 部屋にポスターを貼っていたという思い出しかないのです。 そんな「なんとなく知っている気になっている物語」なのですが、 その「1分で分かる~」のあらすじが、まんま私の知っている 『ロミオとジュリエット』! なんだ~やっぱり合ってた~とか思いながら鑑賞です。

そうそう、 始まる前にケネスブラナーが、この作品は1950年代のイタリアを 舞台にしたこと、そしてその作品を当時のフィルム・ノワールの 雰囲気を出すため、白黒で上映したかったこと、 シネスコープサイズで舞台を切り取ったこと、、そして 「モノクロでこの作品が観られることにワクワクしています」 というケネスのお言葉。

その気持ちは分かる。 よーーーーく分かる。 だがしかし!! 私はねえ! カラーでも観たかったですよ!!!

あ、ちなみに今回もギャリックシアターの美しい天井がぐるぐるしていました。

ストーリーは あれです、王道のあれ。 なんですけど、ロミオとジュリエットって13、4歳だったんですね! 私は勝手にハイティーンだと思っていました。 そりゃあもう突っ走っちゃいますわ。 ちょうど思春期、いわゆる中二病の時期じゃないですか。 それだもの、仕方ないわ…。

ロミオとジュリエット役は リリージェームズとリチャードマッデンという こちらもケネスブラナーが監督した『シンデレラ』コンビ。 シンデレラではキラッキラしておりました。

そのふたりなのですが、 私はリリージェームズがちゃんと13歳に見えたんですよ! リリージェームズはその天真爛漫さを出す役柄が 多いのかなと今のところ思っているんですけど、 ダウントンアビーとも違う、 「ローティーンの天真爛漫」に見えたんですよね。 舞台で大きな演技をしているからかな。 ひとりで盛り上がっちゃって 「おおロミオ!!」なんてやっているところを 当のロミオに見られて恥ずかしがっているシーンは かわいい…と思いながらも「これははずかしい!!」と 同情しました笑。

逆にリチャードマッデンはさすがに14歳には見えなかった…。 仕方ないか。 カッとなってもいいけど、人を刺しちゃあいけんよ、 大人なんだから…あっ子どもだった!という感じでした。 でもやっぱりリリージェームズと並ぶとお似合いです。

ジュリエットのお父さんが突然のDVしたり そのとき止めないお母さんの様子を見て悲しくなったり しましたが、「女の価値は嫁に行った先で決まる」と 信じている父としてはああなるのでしょうか…。 間違いなくやりすぎなんだけども。

ロミオとジュリエットの家は犬猿の中なのは 周知の事実なのですが、その中でも血気盛んな ティボルトがちょっとかわいそうかな、と思ったりも。 彼も家の犠牲者ですよね。 親のいうことを信じて突っ走って、ああなってしまって。 しかもその挙句、ロミオが追放となったことを知った ジュリエットに 「ティボルトが100回死んでもロミオの追放より悲しいことはない」 とか言われちゃうんですよ…。 あんなに仲の良かったいとこなのに。 ああ、恋とは恐ろしいものですね。

みんなが頼るロレンス修道士なのですが、 彼の案は本当に素晴らしいです。 機転がきくね! ただ、ツメが甘かった。 ロレンス修道士は、ロミオに手紙が渡っていないことを知った段階で ジュリエットの枕元にその旨を書いた手紙でも置いておけば よかったのに…。 でも歴史(なのか?)にifはありません。 悲しいかな、若いふたり(とパリス)は命を落としてしまうのでした。

余談ですけど、死んだように眠ってある一定の時間が経ったら 目覚める薬を調合できるロレンスさんてすごい。

ストーリーはほぼ知っていたのですが、 役者さんたちの熱演によって、最後はじわっと涙が出ました。 ジュリエットが死んだと思われているときの キャピュレット一家の深い悲しみのシーンも泣けました。 というかここが一番ぐっときたかもしれません。

さてさてさて。 ここでマキューシオのことをば。 『ロミオとジュリエット』のマキューシオといえば ロミオと、そのいとこのベンヴォーリオの友人。 なんと、そのマキューシオ役がデレク・ジャコビなのでした。

若者を友人に持つオシャレで粋なおじいちゃんを とってもキュートに演じていらっしゃいました。 だってね!! 登場の仕方がニクイのですよ!! ダンスしながら登場するんだもん~~~!!! キャー!す、すてき!!と興奮しました。

このキャスティングは、ケネスブラナーが読んだ DHロレンスの往復書簡がヒントだったそう。 若かりし頃、パリのパブ?で仲間と飲んでいたら、 大柄なホームレス風の男と出会い、彼の話の面白さにひかれ 酒をおごりつつ話に花を咲かせていた。 お金も時間も尽きたころ、彼は自然といなくなっていた。 そういえば彼の名前も聞いていないと 椅子を片付けているボーイに聞いてみた。 「彼、たまにこうして話をしているんですよ」という。 名前を聞くと 「彼ですか? オスカー・ワイルドっていうんです」 それは、晩年をパリで過ごしたオスカーワイルドだった、という話で。

それを聞いたとき、映画館なのに「ええーー(小声)」と言ってしまいました。 ケネスブラナーは話が上手い。

という訳で、その話をもとに今回のマキューシオを 同年代の役者にしないということになったそう。 デレク・ジャコビも面白がってくれた、というようなことを 言っていたような…。

いや~~、このマキューシオ、とってもよかったです。 狙い通りだったのでは。 でも、デレク・ジャコビが素晴らしすぎて ロミオが霞んでしまった感も…。

そういえば、この撮影の48時間前にリチャードマッデンが ケガをしたようで演出が少し変更になったと ケネスブラナーが最初にアナウンスしておりました。 「でもそういうことも楽しんでください。それがライブ(生)ですから」 とキメ顔をしたのがとてもかっこよかったです。 なんたる安心感。

結局その後、リチャードマッデンは休演し アンダーの方もケガをされ、 なんとフレディ・フォックスが急遽出演したそうなのですが こちらも観たかった…。 14歳ぽいロミオが観られたかも…?うーーん、どうだったんだろう。 勝手に想像しておくしかない。

幕間では、1950年代のイタリアミニ知識が 結構延々と披露されていたので ちょっとだけ詳しくなりました。

ただな~、やっぱりカラーでも観たかったなあ、というところです。

2016年11月24日 TOHOシネマズ川崎にて鑑賞

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