旅と温泉と生活と

北海道・道東を拠点に、いろいろなところを旅したり温泉に入ったり車中泊に憧れたり生活に関するレビューをしています

【2017.3】ロンドン旅行記 その12 トラヴェスティーズを観た!!!

この日はマチソワ観劇でした! まずはアポロ劇場へ『トラヴェスティーズ』を観にれっつごー!   

と、浮かれた感じで初めてみましたが、実は観劇前はとても不安だったのです。 トランスファーする前の評判などを知って 「わー!観たい!!えっ トランスファー私がロンドンいるときだ!観る観る!!」 とテンション高くチケットを取ったわけですが 肝心のお話がよく分からない…。 半分はフレディ・フォックス観たさだったので、 焦っていろいろ調べました。

まずは、どうやらオスカーワイルドの『真面目が肝心』が 元ネタらしいということを知り、映画化されたものを鑑賞。 『アーネスト式プロポーズ』という邦題なので要注意。 ちなみにこの映画、コリンファースとルパートエヴェレットが出演しているのです。 アナザーカントリー好きにはたまらない一作でございます。 ここでなんとなく内容を掴みました。

そして、この『トラヴェスティーズ』は翻訳がされていないので(私調べ) あらすじをネットの海から探してまいりました。 どうも第一次世界大戦後のお話で スイスのチューリヒに『ユリシーズ』でおなじみのジェイムズ・ジョイス、 ダダイズムの第一人者、トリスタン・ツァラ、 ロシア革命といえばのウラジミール・レーニンという 3人の著名人が同時期にいたという事実を基にして、 その3人とスイスの英国領事館員・ヘンリー・カー(実在の人物)を 軸としたお話だということらしい…と分かりました。

そこで、この登場人物たちをぐぐるところからスタートです。 レーニンはなんとなく分かるので置いておいて(おい)、 ツァラとジョイス、カーを中心に。

ダダイズムとはなんぞや?ということも調べました。 ちなみに私が理解したダダイズムとは「意味がないものが芸術だ」 ということ…かなあと。 ただ、ダダ自体は1918年にツァラが「ダダ宣言」としてから 1922年には廃れているので短い流行りだったようです。

ツァラとレーニンはともかく、ジョイスとカーは 実際に『真面目が肝心』を上演したようです。 カーはアーネスト役。好評だったようですが、 お金の面で折り合いがつかなくて(だったかな) 裁判沙汰になってしまいます。 ジョイスは自分の著書の中に『ヘンリー・カー』という 人物を登場させて復讐したとか…。恨んでいたのですね…。

と、ざざっとこのくらいの予習を行いました。 でも、初めて戯曲を読まずに挑む舞台だったので 分かるかな、どうかな、と不安だったのです。 この作品は難しい、ということも聞いていたので 「えーい、こうなったらフレディフォックスとトムホランダーを 拝んどこ!」と思ったりしました。

そう、ここにきて私の中のトムホランダー熱が急上昇していたんですよね…。 なぜかというと『ナイトマネジャー』というドラマを観たから!! ジョン・ル・カレ先生の原作で、トムヒドルストン主演です。 アマゾンプライムで観られますよ! このドラマのトムホランダーがいい味を出しまくっていて、最終的に 一番のお気に入りキャラになっていたのです。 そういうこともあって、ミーハー心丸出しで乗り込みました。

そんな不安を抱えながら観にいったわけですが、 これが!!!もう!!!最高に楽しかったんです!!!! 声を大にして言いたい。 最高に楽しかった!!!!!

そうです、この作品は喜劇だったんです。 客席からも大いに笑いが起こっていたし、私も 大笑いするシーンが多々ありました。 ばくしょう。

思った以上に『真面目が肝心』だったのには驚きました。 そのまんまやんけ!みたいな。 その中に政治の話などを絡めてくるので ストッパード先生、やりおる…とか思ったりしました(上から目線)。

細かな台詞は分からなかったのですが、 なんとなくだったり動きで分かることもあって、本当に楽しかった…! ツァラの登場シーンの「ジャーーーン!」的なやつとか レーニンが途中まで完全にお笑い要員だったりとか カーがやたらジョイスの名前をわざと間違えて呼んだりとか (これはアイルランドへの差別もあるかもと思ったので複雑な心境) ツァラの「だだだだだだだだー!」とか 執事のベネットがやたら新聞は「タイムズでいいですか」とかなんとか 言っていたり。それに 突然のストリップだとか突然のシェイクスピアだとか 本当に笑わせていただきました。

老いたカーが定かではない記憶を基にした語り口なので 本当なのかなんなのか分からないところもあって 翻弄されたりも。 「カーーン!」というゴングのような音も効果的だったなあと思います。

お話はというと(ほぼネタバレ)

ツァラがダダイズムでグウェンドリン(カーの妹で ジョイスの助手)のハートを掴んだのを見たカーが ツァラを名乗ってセシリー(レーニンの助手)のハートをがっちり掴む! 革命に沸くロシアへ旅立つレーニンと妻とセシリー! セシリーがチューリッヒに戻り、ツァラを訪ねるとグウェンドリンが応対。 「私の恋人はツァラなの」というセシリーに 「私の恋人もツァラだけど…?」と思うグウェンドリン! 最後には誤解もとけて、みんなでダンスして終わり。という。 ざっくりとこんな感じでした。

そんなわけで、観了感(っていうんですかね)が 「なんかシェイクスピアの喜劇を観た後みたい…」という感じで なんだかとても良い気持ちで終われたんですよね。 そうそう、セシリーとグウェンドリンの誤解のところ、 歌に乗せてお芝居をするんですけど、最高に面白くてかわいかったです。 あのお歌が頭から離れない~~!

最後のダンスもトムホランダーのサイズ感がかわいくて 「なんだ!かわいいなその動き!!」とかにこにこしながら 観ていた気がします。 脚本にも勢いがあったと思いますが、 演出も素晴らしかったし、背の高い本棚のようなセットも 面白かったです。 出演者の方も皆さん素晴らしかった!

カテコのラストでベネット役のティムさんが寄付を募っていたので 私も心ばかりの寄付をさせていただきました。

大層面白くて、私はこの演目が大好きなのですが たぶん表面上の面白いところしか感じ取っていない気がするので 戯曲(買ってあるけど読んでいなかった)を これからじっくり読もうと思います。 どのくらいかかるかは分かりませんが…。

あ~~もう1回観たいよう~~!と、ロンドンから戻って来て しまった今でも思っています。 アーカイブになるのだろうか…。せめてまたどこかで観られたらいいなあ。

TOP