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ATL『リチャード三世』を観た!!

ブリティッシュシアターライブ?アルメイダシアターライブ? 兎にも角にも『リチャード三世』を観てきました。

 お恥ずかしながら、私はリチャード三世を観るのが初めてで、

●なんか薔薇戦争と関係ある

●史上最悪の王だったらしい

という前知識しかないまま「上映されてる!」という 理由だけで観にいったのです。

いや~~~素晴らしかった!! 面白かったです。 一時たりとも飽きずに観られたのは、リチャード三世役の レイフ・ファインズが魅力的だったからでしょうか。  

本公演上映の前に、アルメイダシアターの紹介や演出の ルパート・グールドへのインタビューなんかもあって楽しめました。 アメリカンサイコの舞台、観たかったわあ。 あとグールドさんにこにこしていてかわいかった…。  

当日着で、この前に1本映画を観ていたので もしかして疲れて寝ちゃうかも?なんて思ったのですが、 ぐいぐいぐいぐい惹き込まれてしまい もう目がぎんぎんにさえておりました。

リチャード三世、ほんと最低な王…というか人間として最低。

しかしこんな人物を魅力的に演じちゃうんだからレイフ・ファインズはすごい。 自分の欲望に忠実で、王になるためには血の繋がった家族でも 容赦なし。

でもこれ、孤独を深めていくだけなんですよね。 最後は哀れだったなあ。

天からも見放され(太陽が出てこない)、 殺した人たちからは呪われ(絶望して死ねというパワーワードが響く)、 「馬…馬はどこだ」とか、最後まで馬さえあれば勝てるみたいな言い訳を していたのが印象的でした。

対して女性陣は、弱いけど強かった。 夫となる人の運命に従わなければいけない存在なのだけど、 それでも生きながらえていく。

その強さと弱さ、相反するものなんですが どちらも感じることができたのです。 夫と子どもをリチャードⅢに殺され、その場に集まっていた人たち (どうやって来たんだ)に呪いの言葉を浴びせるマーガレットの 迫力がものすごくて圧倒されました。

マーガレットは夫と子を亡くした悲しみ辛さからか、 赤ちゃんの人形をずっと胸に抱いているのですが それが不気味さと悲しみをあらわしていたのだろうと 思います。その人形がエリザベスへと渡るんですけど、 ヒエ~~~となりましたよ…こわっ。呪い、こわっ。  

また書いちゃいますけど、ほんとぐいぐいと惹き込まれて しまいました。リチャード三世という作品が愛されている 理由が分かった気がします。  

ただ途中から「そんなにまでして手に入れたいものなの…王の座って」 とか思ってしまいました。だって気がついたら肉親はほぼいない、 そして(数少ない)部下たちを恐怖で統制はできないだろうなあと。  

まあそういうわけであの最期になってしまうのですが。

今回の作品は、リチャード三世の遺骨が駐車場の下から 発掘されたというニュースを取り入れていて、その発掘現場からスタートします。

そしてリチャード三世(グロスター公)が登場。

このグロスター公がHUNCHBACKなんですね、多分遺骨の背骨が ものすごく曲がっていたからか、とも思うんですけども。 ちょっとノートルダムの鐘を思い出しました。

この作品の登場人物たちは、みな現代風の衣装を着ていました。 携帯電話(アイフォンかな)も出てきましたし、 「これは現代にも通じるストーリーだ」とルパートさんも最初の インタビューで言ってなかったっけな、そういう意味で現代風にしたのかなと。

ただ、二幕も進んでくるとそんなことはすっかり頭の中から 無くなってしまいました。 戦争のシーンがあるのですが、それはまさに中世のもの。 現代からいつの間にか中世になっていました。 いや、いつの間にかとか思っていたのは私だけかもしれないのですが (ストーリーに入り込みすぎ) リチャードが戦争で最期を迎えた後、 女たちが出てきてそこからまた発掘現場に…というシーンは ちょっと鳥肌が立ちました。 ああそうだ、これは歴史上のことなんだ、とはっとしたというか。  

この『リチャード三世』は シェイクスピアの創作なので脚色されているのは 分かっているんですけど、実際にそこに居た人物だったんだ…という。 なんだろうこの感覚。あまり無い鑑賞後の感覚で面白かったです。  

まさか観られるとは思っていなかったので 今回も吉祥寺オデヲンさまに感謝感謝です。 とうとうポイントカードが貯まってしまったよ。

4月15日 吉祥寺オデヲンにて鑑賞

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