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北海道・道東を拠点に、いろいろなところを旅したり温泉に入ったり車中泊に憧れたり生活に関するレビューをしています

【観劇】ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ

 6月24日、東京芸術劇場シアターイーストにて 二兎社公演42 「ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ」を 観てきました。

 きっかけは今期大ハマりしたドラマに出演されていた 眞島秀和さんなんですけども。 いやあ、ありがとうございます!!!という気持ちです。 観られてよかった〜。しかも、今、この時に観ることができて 本当に感謝です。 これぞ演劇。


  舞台は国会記者会館の記者クラブ。 ある日、総理の記者会見の答弁を書いた書面があろうことか 記者クラブのコピー機から発見され… というもの。  

恥ずかしながら、私は「記者クラブ」という仕組みを 知らなかったんです。 なんとなくTVでその名を聞くなあ、くらいで。  

まさか 新聞社・通信社・テレビやラジオの大手メディアしか入れず、 会見で発表された報道を流すので、独自に取材することがない とは。 (パンフより)  

大手メディアしか記者クラブに入れず、その内容は各社で 示し合わせているので同じような報道になってしまう。 なるほど…と思わざるを得ないなあと。  

ちなみに、2018年では「報道の自由度ランキング」世界67位っていう。  

そんなお話なので難しい単語などもあるのですが 開演前に渡される用紙に用語説明があったので 初見でも分かりやすかったです。  

というか、もう爆笑の連続でした。 すごい、すごい、今の政治に対する批判! 皮肉がすごい。ものすごい。 ブラックコメディと言ってもいいと思います。  

今しかできない今の空気感がすごい。 いったいいつ脚本があがったのかと思ってしまいました。 たくさん笑わせてもらったのですが、 最後にとても怖くなったんですよ…。 笑っていたけど、本当にそれでいいのわたし!? 大丈夫??日本大丈夫???と本当に怖くなりました。  

それが今の「空気」なんだなあとも。  

パンフや開演前にもらう冊子に記者クラブの内情などが 書いてあり、観終わった後に読んだのですがとても興味深かったです。   

役者さんたちもすっごく良かったです。 松尾貴史さんが保守系全国紙論説委員・コラムニストなんですけど、 首相を支えている(と思っている)役で、松尾さんが必死にやればやるほど面白い(笑)。 でも、言い訳がほんっとうに政治家の人の言い回しそっくりで もう腹立つ〜〜〜〜!!ってなりました。 それを松尾貴史さんが演じる皮肉さもあって、とてもよかったです。  

大手放送局政治部記者・解説委員役の馬渕英俚可さんもよかった…! 気が強くて芯が通ってかっこいい系なんですけど、 彼女も必死になればなるほど滑稽なんです。 全ては「あの方」のために!ってヴォルデモードじゃないんだから…と いう感じですけども。 彼女と松尾さんのやりとりもすごい迫力で面白かったです。 笑ったけど、こんなの本当にあったらやばい。 というかありそうでマズイ。  

若手の保守系全国紙政治部記者・官邸総理番役の柳下大くんが 今回とってもよかったのが収穫かなあ。 政治部記者としての正義感と、自分の生活との揺らぎが とってもよく表されていて、「わ、わかる〜〜でも君さあ…いや分かる〜」となったり しました。 彼の出した結論が、今の空気でもあるんだろうな。 悲しいけど、そういうことなんだろうな。 でも、責められないよなあ、とか色々考えちゃいました。  

お目当ての眞島秀和さんはリベラル系全国紙政治部記者・官邸キャップです。 一番、私よりというか、大部分の人よりなのかなあと思いました。 勝手な印象ですけど。 役を自分に引き寄せるのが上手いのかな、すごく自然で かっこいい役だったんですよね…。 当て書きだと思うんですけど、はあ〜ありがとうございますとか 思ってしまった。 そんな彼が吐き捨てるように言う 「これが今の空気なんだよ」にドキッとしてしまいました。 つらいなあ。  

主演の安田成美さんはビデオジャーナリスト・ネットテレビ局代表。 記者クラブには入れません。 こっそり屋上に忍び込むところから話が始まるわけですが…。 どうしても今の感じだと「どうせネットテレビでしょ」的な空気があると 思うんですけど、こういう強い思いを持っている方が多いんだろうな、と 思わされました。 でもやっぱり心の底ではネットだしなあ、と思う自分も。 フェイクニュースもネットは多いし。  

ツイッターなどを見ていても、自分の主義主張を アピールしたいがためなんだろうけども、 一部の発言を切り取ったりTVのキャプチャも都合の良い 表情のところを載せているのが多いと感じていて、 正直ほとんど信じられないのです。  

この空気は徐々に今の政府が作り上げたのだと思っているんですけど、 一市民の私にできることは何だろうとも考えさせられました。  

良いお芝居を観られて満足感がすごい。 きっかけはミーハー心でしたが、観られてよかったです。  

そういえばこの演目、読売演劇大賞の中間選考会で たくさんノミネートされていました。 納得!  

全国ツアー中ですが、北海道にも来てくれたらなあと 思ってしまいました。 やっぱり海を越えるのは大変なのかなあ。    

6月24日、東京芸術劇場にて観劇。



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